デビューラウンド(その2)

3番バッターの師は、パワフルで綺麗に振ってフェアウェイど真ん中へ、 無言で見ていたら
「おい、ど真ん中だろ、ナイスショットぐらい言えよ!」と師がおっしゃる。
「ああ、そうなんだ、ナイスショットです!」
「調子狂う奴だなぁ・・・」と笑っている師。 さすが、余裕です。

(何だよ、師匠以外みんな大したこと無いじゃん!)と腹の中で思い
(ようしここは一発、師よりもぶっ飛ばしてやるっ! ! )渾身の力でボールをぶっ叩きました。

一瞬何処へ行ったのか解らず、目でボールを探し始めた時、師が
「ファ〜〜〜〜〜〜ッ! !」と、大声で叫び、右隣のホールを見ている。
師の目線の方向を見ると、隣のホールを横切る様なとんでもない勢いで飛んでいるボールが
目に入ってきました。
自分自身あんなに曲がるなんて思っていなかったものですから、正直 想定外の飛びに
ビックリしました。《止まれ・・止まれっ! !》と必死で思っていました。

やっと止まったボールは、危うく更にその隣のホールに行く寸前のラフで止まりました。
「そこまで叫ば無くてもいいじゃん・・!」と、笑いをこらえている(A)さん。
「え・・叫んでました?・・ボク・・?」
「・・にしても・・1発目からOBかぁ・・・!」実はOBの意味だけ知っていたのです。
「いいや、ここは河川敷だから1(ワン)ペナだよ、早くボールを拾ってこい!」
「ワンペナ? ペナって?」
「ペナルティーのワンペナ!」と、師。
「あっ、 なぁる程!」と、理解。

《そこから私の激走が始まりました! ! 》

打っては走り、打っては走り・・息を切らしてグリーンにたどり着いたら・・・
「後ろの組が来ているから早くしろ!」と言われ、
休む間もなく(ゼーゼー)と息を切らしたままパターを・・・
そんなもん入るわけがありません! 唯一休憩が出来たのは、ティーグラウンドで指定の
4番バッターの時だけです。 打順が来ると目一杯振って、必死で走って・・・。

やっとハーフ終了・・レストランで何を食べたかも覚えていませんでした。
午後も打っては走って・・打っては走って・・の繰り返し・・
真冬だというのに汗だくの1日だったのを今でも思い出します。

1日中コースの中を走り回った《デビューラウンド》でした。

その夜の、ひとり言です。
「ゴルフがこんなにシンドイなんて・・・
 2度とゴルフなんかやるもんかっ! !」

翌朝、夜明けと同時に練習場に行ったのは当然です。 はははっ!

        【 デビューラウンド 】(その2)完。


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